クレジットカードは個人向けだけではなく、法人用クレジットカードもあります。
個人事業主の場合は法人カードを作ると、経理作業の簡略化やビジネスをサポートするサービスを利用できます。
この記事では、法人カードと個人カードの違いや、個人事業主向けカード選びのポイントなども合わせて解説します。
- 個人事業主が法人カードを作ると経理作業を簡略化できるなどのメリットがある
- JCB一般法人カードは出張時に便利な付帯サービスが充実
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードはビジネスサービスを優待価格で利用可能。コスパに優れたプラチナカード
- 年会費と付帯サービスのバランス
- クレジットカードの還元率
- 利用限度額
※本記事の価格は全て税込みです。
法人カードと個人カードの違い
法人カードは法人や個人事業主向けのクレジットカードです。個人カードとは主に以下の5つの点で異なります。
- 引き落とし先の口座
- 追加発行できるカードの種類
- 付帯サービス
- 利用限度額
- 支払い方法
引き落とし先の口座
個人カードは引き落とし先の口座に法人口座を指定できません。
一方、法人カードは、以下の2つの引き落とし方法があり、それぞれ指定できる口座が異なります。
- 会社決済型:法人口座指定
- 個人決済型:個人口座指定
また、法人カードの中には、個人口座と法人口座の両方を引き落とし先に指定できるカードもあります。
追加発行できるカードの種類
クレジットカードは基本的にカード名義人以外は利用できません。
ただし、個人のクレジットカードは家族カードを発行すれば、家族も利用できます。
法人カードは家族カードはありませんが、会社の代表者以外の社員でもクレジットカード決済できるように、社員用のカードを追加で発行できます。
また、法人カードの中には、追加で発行したカード毎に利用限度額を設定できるため、経費管理の手間を減らせます。
付帯サービス
法人カードには経理業務の効率化を支援するサービスの提供や、福利厚生代行サービスなどビジネスに必要な付帯サービスが充実しています。
- 空港ラウンジ・ビジネスラウンジの使用
- 海外旅行傷害保険
- 国内旅行傷害保険
- ショッピング保険
- 福利厚生サービス
福利厚生サービスには、法人カード名義人の従業員やその家族が、フィットネスクラブなど特定の店舗のサービスを優待価格で利用できるなど、さまざまなサービスがあります。
法人カードによって付帯サービスのバリエーションが異なるので、自社にとって必要なサービスが充実しているか、事前に確認するようにしましょう。
利用限度額
法人カードは個人カードに比べて利用限度額が高い傾向にあります。
法人カードは、個人事業主や法人が事業に必要なものを購入する際に使われるので、利用額が高くなることが多いためです。
さらに、法人カードを利用して買い物をすると、経理部の日々の精算業務もなくなり、カード明細で購入日や、購入した物品が一目瞭然なので、業務効率化につながります。
支払い方法
法人カードによっては、個人カードのように分割払いやリボ払いが利用できない場合があるので、まとまった出費がある際は一括で支払う必要があります。
大きな買い物をしても、キャッシュフローをコントロールできるようにしたい方は、分割払いやリボ払いができる法人カードを選びましょう。
個人事業主向けカードを選ぶポイント
個人事業主の方がクレジットカードを選ぶ時は、次の4つの点に注目しましょう。
- 年会費の妥当性
- ポイント還元率
- 付帯サービス
- 利用限度額
年会費の妥当性
年会費無料の法人カードは数多くあります。
しかし、法人カードの中には、年会費はかかってもビジネスに役立つ付帯サービスが充実しているものもあり、一概に年会費が安いものがいいとは限りません。
また、ホテルやレストランの優待特典を活用して得意先におもてなしをすることで、新たなビジネスチャンスに繋がるかも知れません。
法人カードは個人カードよりも、年会費と付帯サービスのバランスを考慮することが大切です。
ポイント還元率
法人カードの一般的なポイント還元率の目安は0.5%~1.0%です。
0.5%~1.0%といわれると、そこまで大差ないと思うかもしれません。
しかし、法人カードは毎月の支払額が高額になる傾向があるので、還元率が変われば、獲得ポイントに大きな差がでてきます。
- 還元率0.5%の場合
100万円 × 0.5% = 5,000ポイント - 還元率1.0%の場合
100万円 × 1.0% = 10,000ポイント
ポイントは、キャッシュバックや、事務用品の購入代金にも充当できることがあります。
そのため、還元率の高い法人カードは経費削減効果もあります。
付帯サービス
法人カードの付帯サービスには、空港のラウンジサービスや国内外の旅行傷害保険などがあります。
出張が多い方は、海外旅行傷害保険や空港ラウンジサービスが付帯するものがおすすめです。
追加カードやETCカードが多めに発行できるものなど、自身のビジネスにあったものを選びましょう。
利用限度額
法人カードの支払い方法は一括払いが主流なうえ、利用額も高額になりがちなので利用限度額が高いカードを選ぶようにしましょう。
個人事業主におすすめのクレジットカード4選
それではこの章より、個人事業主におすすめなクレジットカードを4種類紹介します。
- JCB一般法人カード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
- NTTファイナンスBizレギュラーカード
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
JCB一般法人カード
JCB一般法人カード | ||
---|---|---|
ポイント | 還元率 | 0.5% |
名称 | OkiDokiポイント | |
1ポイントの価値 | 1円 | |
交換可能マイル | ANAマイル/JALマイル/デルタ航空 スカイマイル | |
年会費 | 初年度 | 無料 ※インターネット入会の場合 |
2年目以降 | 1,375円 | |
追加カード | 1,375円 | |
旅行保険 | 海外 | 最高3,000万円(利用付帯) |
国内 | ||
ETCカード | 発行手数料 | 無料 |
年会費 | ||
ポストペイ型電子マネー | QUICPay | |
国際ブランド | JCB | |
発行会社 | 株式会社ジェーシービー | |
発行期間 | 最短2週間程度 |
- ポイントが貯まりやすい
- 出張時に便利な付帯サービス
- 会計処理業務を効率化
JCB一般法人カードは中小企業、個人事業主向けのクレジットカードです。
ETCカードは無料で複数枚発行できるため、複数の社員にETCカードを発行しても、コストがかかりません。
出張時に便利な付帯サービスも充実しているので、出張が多い事業主におすすめのクレジットカードです。
ポイントが貯まりやすい
JCB一般法人カードでは1,000円毎に1ポイントのOki Dokiポイントが付与されます。
Oki Dokiポイントは1ポイント約5円相当に換算できるので、ポイント還元率は0.5%。
高還元率とはいえませんが、JCBが運営するOki Dokiランドを経由すると、ポイント倍率がアップします。
- 昭和シェル石油:2倍
- トレンドマイクロ・オンラインショップ:20倍
- 高島屋:3倍
- オリックスレンタカー:6倍
- AOKI:5倍
- Amazon.co.jp:3倍
業務上で使う備品などをOki Dokiランド経由で購入すると、お得にポイントを貯められます。
また、優待店であるJCB ORIGINAL SERIESパートナーでカード決済をしても、ポイント倍率を上げられます。
- Amazon:ポイント3倍
- メルカリ:ポイント2倍
- セブン-イレブン:ポイント3倍
- ウエルシア:ポイント2倍
- スターバックス カード:ポイント10倍
- ビックカメラ:ポイント2倍
出張時に便利な付帯サービス
航空チケットの取得が簡単にできるJAL ONLINEや、最高3000万円までの補償が受けられる旅行傷害保険など、出張時に便利な付帯サービスが充実しています。
- JAL ONLINE
24時間365日、国内線の予約と発券が可能 - じゃらんnetホテル予約
一般的な宿泊プランの他に法人限定の宿泊プランが予約可能 - JR東海エクスプレス予約
ネット予約とチケットレス乗車サービスであるエクスプレス予約が可能
チケット代などの支払いに対してもポイントが付与されるので、経費削減にもつながります。
会計処理業務を効率化
JCB一般法人カードでは、カードの利用明細をクラウド会計ソフトと連携できるので会計処理業務を大幅に効率化できます。
- 弥生会計
- 会計freee
- ソリマチ
領収書の整理のような手間がかかる作業の工数も削減でき、人的ミスも減らすことができます。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード | ||
---|---|---|
ポイント | 還元率 | 0.5%※ |
名称 | 永久不滅ポイント | |
1ポイントの価値 | 最大5円相当 | |
交換可能マイル | ANAマイル、JALマイル | |
年会費 | 初年度 | 無料 |
2年目以降 | 22,000円 | |
追加カード | 3,300円 | |
旅行保険 | 海外 | 最高1億円(利用付帯) |
国内 | 最高5,000万円(自動付帯) | |
ETCカード | 発行手数料 | 無料 |
年会費 | ||
ポストペイ型電子マネー | QUICPay、iD | |
国際ブランド | アメリカン・エキスプレス | |
発行会社 | 株式会社クレディセゾン | |
発行期間 | 最短3営業日 | |
詳細 | 公式サイトを見る |
※交換商品によっては、1Pの価値は5円未満になります。
- 永久不滅ポイント・マイルが貯まる
- コンシェルジュサービスがいつでも利用可能
- ビジネスサービスを優待価格で利用可能
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カードは、プラチナカードなのにも関わらず、年会費が22,000円と低めに設定されている法人カードです。
永久不滅ポイント・マイルが貯まる
セゾンプラチナ・ビジネス・アメックスではSAISON MILE CLUBに登録すると、ポイントに期限のない永久不滅ポイントと、JALマイルを貯められます。
JALマイルは1,000円毎に10マイル、永久不滅ポイントは2000円毎に1ポイント貯まり、JALのマイル還元率は最大1.125%になります。
- JALマイル:8000マイル
- 永久不滅ポイント:400ポイント
- 永久不滅ポイントをJALマイルに還元:1000マイル
- 合計JALマイル:9000マイル
貯まった永久不滅ポイントをJALマイルに交換することにより、還元率を上げられます。
コンシェルジュサービスがいつでも利用可能
セゾンプラチナ・ビジネス・アメックスでは24時間365日コンシェルジュサービスを利用できます。
コンシェルジュサービスでは、ホテルの予約や航空券の手配など様々な要望に対応してくれます。
多忙で手続きなどに時間をかけたくない方にとって非常に役立つサービスです。
- 海外出張前の渡航先のレストラン・エンタメ・ショッピング情報などの案内
- ホテルの手配
- 航空券や特急券の手配
- レストランの案内・予約
- 国内・海外旅行プランの相談
ビジネスサービスを優待価格で利用可能
セゾンプラチナ・ビジネス・アメックスでは、その他にもたくさんの優待・特典を用意しています。
- ビジネス・アドバンテージ
事務用品やレンタカー、宅配サービスなどを優待価格で利用可能 - リーガルプロテクト
弁護士や弁理士、司法書士などのサポートを優待価格で受けられる - 国内主要ラウンジが無料
国内の主要空港ラウンジが無料で利用できる - 世界主要空港のラウンジ優待
148ヶ国以上の国や地域、1,300ヶ所以上の海外空港ラウンジが優待価格で利用できる - 海外旅行傷害保険1億円が利用付帯、国内旅行障害保険5,000万円が自動付帯
様々な業種の経費の支払いを簡潔に行うことができ、優待価格で各種サービスを利用できるので、ビジネスを効率化しつつ経費の削減ができます。
NTTファイナンスBizレギュラーカード
NTTファイナンスBizレギュラーカード | ||
---|---|---|
ポイント | 還元率 | 1.0% |
名称 | NTTポイント | |
1ポイントの価値 | 1円 | |
交換可能マイル | ANAマイル | |
年会費 | 初年度 | 無料 |
2年目以降 | ||
追加カード | ||
旅行保険 | 海外 | 最高2,000万円(自動付帯) |
国内 | 最高2,000万円(利用付帯) | |
ETCカード | 発行手数料 | 無料 |
年会費 | 550円 | |
ポストペイ型電子マネー | なし | |
国際ブランド | Visa | |
発行会社 | NTTファイナンス株式会社 | |
発行期間 | 約1週間 |
- ポイント還元率1.0%
- 年会費無料
- 経理業務を支援するWeb明細編集サービス
NTTファイナンスBizレギュラーカードは年会費無料のクレジットカードです。
年会費が無料にも関わらず、旅行傷害保険やショッピング補償保険など、付帯サービスが充実しているのが特徴的です。
ポイント還元率1.0%
NTTファイナンスBizレギュラーカードのポイント還元率は1.0%と、法人カードの中でも高めに設定されています。
1ポイント1円として利用でき、貯まったポイントの使い道が豊富な点も魅力的です。
- キャッシュバックやギフトカード
カードの請求額に充当できる他、ギフトカード、図書カードなどと交換可能 - 電子ギフト
Amazonギフト券やnanacoギフト、EdyギフトIDに交換可能 - カタログギフト
ポイント数に応じたカタログギフトと交換 - 他社ポイントに交換
他社ポインとやマイルに交換できる - 景品
電気ポットや空気清浄機、ルンバなどと交換
経理業務を支援するWeb明細編集サービス
NTTファイナンスBizレギュラーカードはWeb明細編集サービスを提供しているので、手間のかかる経理業務の負担を減らせます。
- 利用用途に合わせて利用明細を10分割可能
- 費用科目の編集機能やメモ機能で利用用途の管理が簡略化
- 編集したWeb明細をPDFやCSVデータでダウンロード可能
経費状況の整理や過去の経理状況の把握まで簡単に行えるので、非常に便利です。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード | ||
---|---|---|
ポイント | 還元率 | 0.3~1.0% |
名称 | メンバーシップ・リワード | |
1ポイントの価値 | 0.3円 | |
交換可能マイル | ANAマイル、JALマイル、スカイマイル | |
年会費 | 初年度 | 36,300円 |
2年目以降 | ||
追加カード | 13,200円 | |
旅行保険 | 海外 | 最高1億円(利用付帯) |
国内 | 最高5,000万円(利用付帯) | |
ETCカード | 発行手数料 | 無料 |
年会費 | 無料 | |
ポストペイ型電子マネー | QUICPay+ | |
国際ブランド | アメリカン・エキスプレス | |
発行会社 | アメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッド | |
発行期間 | 2~3週間 |
- 最高1億円補償の旅行傷害保険
- ビジネスを支援するサービスが豊富
- 福利厚生が充実している
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、ステータス性が高いクレジットカードです。
年会費は初年度無料で、2年目以降は36,300円と、他社の法人カードと比較すると高額に設定されています。
しかし、アメックス・ビジネス・ゴールドは付帯サービスが非常に充実しているので、ビジネスの多くの場面で活躍します。
最高1億円補償の旅行傷害保険
出張費用をアメックス・ビジネス・ゴールドで支払うと、国内の場合は最高5,000万円、海外の場合は最高1億円の旅行傷害保険が付帯します。
国内外いずれも代金をカードで支払った場合に旅行傷害保険が適用される、利用付帯です。
アメックス・ビジネス・ゴールドの旅行傷害保険の補償金額は、他社の法人カードと比較しても高額に設定されています。
ビジネスを支援するサービスが豊富
アメックス・ビジネス・ゴールドにはビジネスを支援するサービスが豊富に用意されています。
- OFFICE PASS
全国300ヶ所以上のシェアオフィスやコワーキングスペースの自由席を事前予約なしに利用可能 - クラウドソーシング仕事依頼サイト(Lancers)
人材不足を解消するために業務内容の一部を社外人材にアウトソースできる - 名刺管理アプリ(Eight Team)
スマホで名刺を撮影するだけで交換した名刺を管理できる
他社の法人カードと比較してもサービスが充実している点が、アメックス・ビジネス・ゴールドの魅力の1つといえます。
福利厚生が充実している
アメックス・ビジネス・ゴールドでは、国内外20万ヶ所以上の施設を特別優待料金で利用できる福利厚生プログラムが用意されています。
24時間365日受付可能なヘルスケア無料相談電話のサービスもあるので、いつでも健康管理に関する相談ができます。
個人事業主は用途に応じてクレジットカードを選ぼう
- JCB一般法人カード
- セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード
- NTTファイナンスBizレギュラーカード
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
クレジットカードによって付帯サービスや年会費、ポイント還元率、利用限度額はさまざまです。
特に個人事業主向けの法人カードは、経理作業を効率化するサービスや福利厚生など、充実したサービスがあります。
付帯サービスを活用すれば、従業員のモチベーションアップや、さらなるビジネスチャンスにも繋がるでしょう。
年会費だけではなく、付帯サービスとのバランスを考えて選ぶことが大切です。