「経済的に余裕がない」「公的保障が充実している」「独身だから」といった理由で、生命保険はいらないと考えている方も多いでしょう。
そこで本記事では、生命保険の必要性についてまとめました。
いらないと言われている理由や必要な理由、生命保険の必要性が高い方と低い方の特徴なども解説します。
生命保険がいらないと感じている方も、自分に必要な保障について考えてみてください。
- 病気やケガのリスクに備えるため
- 万が一のときに残された家族を守るため
- 老後資金に備えるため
※本記事の価格は全て税込みです。
生命保険がいらない論がある理由
生命保険がいらないと言われるのには、以下のような理由があります。
- 遺族年金があるから
- 高額療養費制度があるから
- 投資の方が有利だから
遺族年金があるから
家庭の働き手であった方が万が一亡くなってしまったとしても、扶養されていた家族には遺族年金が給付されます。
受け取れる遺族基礎年金の額は780,900円+子の加算額です。
以下の表を参考にしてください。
子の人数 | 配偶者が受け取るとき | 子が受け取るとき(総支給額) |
---|---|---|
1人 | 1,000,560円 | 780,900円 |
2人 | 1,230,300円 | 1,005,600円 |
3人 | 1,305,200円 | 1,080,500円 |
亡くなった方が厚生年金の被保険者だった場合は、上記の遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金も受給できます。
このように、日本には残された家族を守るための公的制度が用意されており、生命保険が要らないと考えるのも理解できます。
しかし、遺族基礎年金を受け取れるのは亡くなった方によって生計を維持されていた「子のある配偶者」か「子」のみです。
配偶者がいたとしても子供がいない場合や、子供が18歳以上の場合は遺族基礎年金を受け取ることができません。
高額療養費制度があるから
画像引用元:高額な医療費を支払ったとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
高額療養費制度があるため、病気やケガに備える保険に加入する必要がないという意見もあります。
日本には公的医療制度があり、病気やケガで病院にかかった際に窓口で支払う自己負担額は医療費の1~3割です。
さらに、自己負担が一定の額(自己負担上限額)を超えた分は高額療養費制度によって払い戻しが受けられます。
自己負担上限額は年齢や所得に応じて決まります。
収入 | 計算式 |
---|---|
年収約1,160万円~ | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
年収約770~約1,160万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
年収約370~約770万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
~年収約370万円 | 57,600円 |
住民税非課税者 | 35,400円 |
例えば、70歳未満で年収が約500万円の方の月の総医療費が50万円だとすると、自己負担限度額は82,430円になります。
1ヶ月間の医療費が高額になっても自己負担が8万円程度で済むなら、医療保険に加入する必要がないと考える方もいるでしょう。
しかし、治療が長引いた場合や月をまたいだ場合、それ以上の医療費がかかります。
また、差額ベッド代や先進医療にかかる治療費などは高額療養費制度の対象にはなりません。
治療が長引けば、医療費だけでなく働けなくなることによる収入減少といったリスクも考えられるでしょう。
そのため、高額療養費制度があれば病気やケガの際も安心とは言い切れません。
投資の方が有利だから
生命保険に加入するよりも株式や投資信託などで運用する方が有利だからという意見もあります。
保険には貯蓄型のものもありますが、確かに現在の利回りは良くなく資産が大きく増えないのは事実です。
株式や投資信託の方が大きなリターンを得られる可能性はあります。
また、株式や投資信託なら好きなタイミングで売却できますが、貯蓄型保険は中途解約すると払込保険料を下回ってしまう可能性が高いです。
そのため、流動性の高い株式や投資信託に回す方が良いと考える方も多いのでしょう。
生命保険が必要な理由
生命保険はいらないと考える方も多いなか、生命保険が必要だと言える理由は以下のとおりです。
- 病気やケガのリスクに備えるため
- 万が一のときに残された家族を守るため
- 老後資金に備えるため
病気やケガのリスクに備えるため
若いと病気やケガの確率が低いことは確かですが、当然ながら全くリスクがないわけではありません。いつ誰にでも起こり得ます。
病気やケガで病院にかかると治療費がかかることはもちろん、会社を休んだり働けなくなってしまったらこれまで通りの収入は得られないおそれがあります。
収入が減ったとしても、毎月の固定費や子供の教育費はこれまで通り払わなければなりません。
「病気やケガに備える」ためには、治療費への備えだけで十分だとは言えません。
万が一のときに残された家族を守るため
世帯主である自分に万が一のことがあった場合、残された家族はこれまで通りの生活を送れるでしょうか。
残された家族は、食費や光熱費、家賃などを支払い続けなければなりません。
配偶者が働けば問題ないと考えるかもしれませんが、残された配偶者が育児と仕事を両立していくことは可能でしょうか。
子どもが幼い場合、生活費に加えて多額の教育費も必要です。
こういった費用をすべて貯蓄で用意しておくのは難しいでしょう。
いつ起こるか分からない事態にしっかりと備えておくためにも生命保険が必要です。
老後資金に備えるため
生命保険は、いざというときのためだけでなく老後資金の備えとしても役立ちます。
貯蓄型の生命保険なら、毎月保険料を支払い、満期保険金などとして将来まとまったお金を受け取ることができます。
たとえば個人年金保険は公的年金では不足する部分を準備するための私的年金で、老後資金に備えられる保険の1つです。
一定の年齢まで保険料を支払い、60歳や65歳など一定の年齢になると年金を受け取ることができます。
また、保険には老後資金だけでなく子供の教育費を準備するための学資保険などもあります。
これらの保険は中途解約すると元本を下回る可能性が高い点には注意が必要なものの、用途が決まっている資金や老後のお金を用意するのにも生命保険は有効なのです。
生命保険に入る必要性が高い方の特徴
生命保険に加入する必要性が高い方の特徴は以下のとおりです。
- 十分な貯蓄がない
- 扶養する家族がいる
- 自営業やフリーランスである
十分な貯蓄がない
病気やケガをしてしまった場合に、入院・手術・通院費などを払えるだけの十分な貯蓄がない方は生命保険の必要性が高まります。
高額療養費制度があるとはいえ、治療が長引けばそれだけではカバーできません。
病気やケガといった事態には治療費以外にもさまざまな支出が発生するでしょう。
また、病気やケガにより仕事を休んだり働けなくなると収入が減少し、貯蓄を取り崩さなければ生活できない可能性もあります。
貯蓄が少ない方ほど、医療保険などで備えておくことが大切です。
扶養する家族がいる
扶養する家族が多いほど生命保険の必要性が高いです。
世帯のなかで自分の収入が主な場合、自分に万が一のことがあると残された家族はこれまでどおりの生活ができなくなります。
残された配偶者が1人で働きながら育児をすることは難しいでしょう。
そのため、扶養する配偶者や子どもがいる場合は医療保険や死亡保険、収入保障保険などで備えておくことが大切です。
自営業やフリーランスである
自営業やフリーランスの方は、公的保障では不足する可能性が高いです。
会社員が病気やケガで会社を休んだ場合は「傷病手当金」の給付が受けられますが、自営業の方などが加入する国民健康保険には傷病手当金がありません。
また、自営業やフリーランスに万が一のことがあった場合にも、残された家族に遺族基礎年金は給付されますが、前述の通り子どもがいない場合は受け取れません。
家族構成などにもよりますが、自営業やフリーランスは会社員の方よりも公的保障が十分でないケースが多いため、生命保険で備えておく必要性が高いと言えます。
生命保険に入る必要性が低い方の特徴
反対に、生命保険に入る必要性が低い方の特徴について解説します。
- 十分な貯蓄がある
- 独身や子供のいない共働き家庭
十分な貯蓄がある
生命保険に入る目的は、病気やケガ、万が一のことがあった場合の経済的負担を軽くすることです。
そのため、医療費が高額になってしまったり収入が大きく減っても、それをカバーできるだけの十分な貯蓄があるなら生命保険に加入する必要はないでしょう。
ただし、医療費や当面の生活費をまかなえる貯蓄があれば良いというわけではありません。
貯蓄でカバーしたことで、その後の家族の生活費や子供の教育費が不足するのであれば、「十分な貯蓄」とは言えないでしょう。
つまり、使う予定のない資金が十分にあるなら生命保険は不要であると言えます。
独身や子どものいない共働き家庭
独身の方は扶養する家族がいる家庭と比べて、生命保険に入る必要性は低いでしょう。
自分に万が一のことが起こっても、残された家族の生活を心配する必要がないからです。
医療費や収入減による生活費などをまかなえるだけの余裕資金が十分にあれば良いでしょう。
また、子どものいない共働き家庭は、子どもがいる家庭や配偶者が専業主婦(夫)の家庭と比べて生命保険の必要性が低いと言えます。
自分が働けなくなっても、配偶者の収入で一部をカバーできるためです。
とはいえ、自分に万が一のことがあった場合に配偶者がこれまで通り働けるとは言えないため、必ずしも生命保険の必要性がないとは言い切れません。
生命保険が必要か迷ったらまず相談
生命保険の必要性について改めて確認しましょう。
- 十分な貯蓄がない
- 扶養する家族がいる
- 自営業やフリーランスである
- 十分な貯蓄がある
- 独身や子供のいない共働き家庭
「経済的余裕がない」「投資のほうが効率的」「公的保障が手厚い」など、生命保険はいらないと考えるのも分かります。
高額療養費制度・遺族年金制度・傷病手当金など病気やケガ、万が一のときに給付が受けられる制度は確かに手厚いです。
しかし、それだけですべてをまかなうことは難しいでしょう。
治療費以外にもさまざまな費用が必要なうえに、働けなくなってしまうと収入が減るリスクもあります。
生命保険の必要性や必要な保障は家庭により異なりますが、いつ起こってもおかしくないいざという時に備えて生命保険に加入しておくことは大切です。
自分に合った生命保険が分からないという方は、まずは保険の相談をしてみましょう。