子どもが小さいうちは、病気にかかったりケガをしたりする機会が多く、経済的に不安に感じている方も多いでしょう。
医療保険への加入を検討しているものの、「子どもに医療保険なんて必要ない」という意見もあり、迷っているかもしれません。
そこで本記事では、子どもの医療保険の必要性についてまとめました。
医療保険が不要だと言われる理由や加入するメリットなどを解説します。
出産を機に保険について考えている方、子どものケガ・病気に不安を感じている方は、ぜひ最後まで目を通してください。
- 子ども医療費助成制度がある
- 子どもの入院率は低い
- 保険料が安く済む
- 差額ベッド代や親の収入減少への備えになる
- 貯金代わりに使える(貯蓄型の場合)
※本記事の価格は全て税込みです。
子どもに医療保険が必要ないと言われる理由
「子どもに医療保険は必要ない」と言われる大きな理由には、主に以下の2つがあります。
- 子ども医療費助成制度がある
- 子どもの入院率は低い
詳しくみていきましょう。
子ども医療費助成制度がある
子どもに医療保険が必要ないと言われる理由の1つは、子ども医療費助成があるためです。
日本には公的医療保険制度があり、病気やケガで病院にかかった際に支払うのは、医療費のうち自己負担割合分だけで済みます。
未就学児なら2割負担、小学校就学後は3割負担です。
画像引用元:医療費の自己負担|厚生労働省
さらに、子どもの医療費は自治体から助成が受けられます。
これを子ども医療費助成と言い、公的医療保険の自己負担分の全部または一部の助成が受けられます。
そのため、子どもの場合、窓口で実際に支払う、医療費の負担はあまり大きくありません。
助成の内容や条件などは自治体により異なり、全額助成されるところもあれば、自己負担額が決まっている自治体もあります。
子ども医療費助成の例
例えば大阪市では、国民健康保険や被用者保険に加入する子どもの医療費の自己負担分の一部が助成されます。
- 自己負担額
最大500円(1医療機関ごと・1日あたり・月2日限度) - 対象者
0歳から18歳(18歳に達した日以後における最初の3月31日まで)の子ども - 所得制限
0歳から12歳(小学校修了)までなし、12歳以降18歳まであり
東京都は、ほとんどの自治体が所得制限なく助成を行っています。
- 自己負担額
なし - 対象者
0歳から18歳(18歳に達した日以後における最初の3月31日まで)の子ども - 所得制限
なし
ただし、23区内でも入院時の食事代の負担の有無は異なります。
まずは、お住まいの自治体でどのような助成が受けられるのかを確認してみましょう。
子どもの入院率は低い
子どもに医療保険がいらないと言われるもう1つの理由は、子どもの入院率はほかの年代と比べて低いためです。
厚生労働省「平成29年(2017)患者調査」によると、年代別の入院率は、以下のとおりでした。
年齢 | 入院率 |
---|---|
0歳 | 1.17% |
1~4歳 | 0.17% |
5~9歳 | 0.09% |
10~14歳 | 0.09% |
15~19歳 | 0.11% |
1~4歳の子どもに限ってみると、入院の割合はたったの0.17%。1,000人に1~2人の割合です。
※平成29年(2017)患者調査の概況|厚生労働省をもとに作成
上のグラフは、全年代における人口10万人に対する入院率です。子どもの入院が少ないことが見てとれますね。
子どもは入院期間も短い
さらに同調査によると、子どもは入院日数も短い傾向にあることがわかります。
年齢 | 入院率 |
---|---|
0~14歳 | 7.4日 |
15~34歳 | 11.1日 |
35~64歳 | 21.9日 |
65歳以上 | 37.6日 |
75歳以上 | 43.6日 |
0~14歳の入院日数は平均7.4日と、ほかの世代と比べて最も短いとの結果が出ています。
全年齢の入院日数の平均は29.3日であることを踏まえると、子どもは入院しても比較的早期に退院できることが予測できます。
入院日数が長くなると医療費の負担も大きくなりやすいので、「入院日数が相対的に短い子どもには医療保険が不要」という意見が出るのも納得できますね。
子どもが医療保険に加入するメリット
上記の理由から、子どもに医療保険は必要ないという意見があるのは納得できます。
しかし、実際の必要性は家庭によりさまざまです。
この章では、子どもが医療保険に加入するメリットについて解説します。
- 保険料が安く済む
- 差額ベッド代や親の収入減少への備えになる
- 貯金代わりに使える(貯蓄型の場合)
保険料が安く済む
1つめのメリットは、保険料が安く済む点です。
医療保険は、加入時の年齢が若いほど保険料も安くなります。
単純に毎月の負担が少ないのはメリットですし、一生涯保障が続く医療保険に子どものうちに加入すれば、安い保険料のまま無理なく続けられます。
また、ひとたび病気になってしまうと保険に加入しにくくなることがあります。
健康状態が良いうちに加入すれば、保険に加入できない心配をしなくて済むでしょう。
差額ベッド代や親の収入減少への備えになる
公的医療保険制度や自治体の子ども医療費助成で補えない部分をカバーできるのもメリットの1つです。
日本では公的医療保険により自己負担割合を超える分は払わなくていいと説明しましたが、入院の際の差額ベッド代や食事代には、公的医療保険が適用されません。
また、子ども医療費助成も自治体により内容がさまざまで、十分な助成を受けられないこともあるでしょう。
医療保険に加入していれば、公的医療保険制度が適用されない支出や助成だけではまかなえない部分に備えられます。
さらに、子どもが病気やケガをしたときの経済的負担は医療費だけではありません。
医療保険があれば、子どもの看病などで親が仕事をできなくなったときの収入減少に備えられる可能性もあります。
貯金代わりに使える(貯蓄型の場合)
解約返戻金のあるタイプの医療保険に加入すれば、貯金代わりとして活用することも可能です。
万が一のことがあったときの保障を用意できるほか、解約するとまとまった解約返戻金を受け取れます。
ただし、貯蓄型の保険は掛け捨て型のものと比べて保険料が高い点には注意しましょう。
子どもの医療保険選びのポイント
子どもの医療保険を選ぶ際は、以下の点に着目しましょう。
- 加入する目的
- 保障期間
- 保障金額
加入する目的
最初に、子どもの保険に加入する目的を明確にしましょう。
保障と貯蓄のどちらを重視するのかで、選ぶ保険商品が異なります。
- 保障を重視⇒掛け捨て型
- 貯蓄を重視⇒終身型(解約返戻金や健康祝い金があるタイプ)
一般的な医療保険の多くは掛け捨て型であり、安い保険料で大きな保障を用意できるのが特徴です。
一方、貯蓄型の保険は保険と貯蓄の両方の機能を備えており、その分保険料が高い傾向にあります。
保障期間
子どもが自立するまで保障を付けたいのか、子どもが自立した後も一生涯続く保障が必要なのかを明確にしましょう。
子どもが自立するまでのみ保障が必要なら、以下ような方法も検討できます。
- 学資保険に医療特約を付加
- 親の生命保険に家族特約を付加
- 子ども用の共済に加入
また、保険料が割安な傾向にある子ども用の共済も選択肢の1つとなるでしょう。
一方、一生涯の保障が欲しい場合には、一般的な終身タイプの医療保険が適しています。
保障金額
保障が手厚いほど安心度は増しますが、その分保険料は高くなります。
子どもは入院率が低く、入院日数も短い傾向にあります。また、子ども医療費助成制度があるため、大人と比べて医療費の負担は一般的に少ないです。
ただし、一生涯の保障を検討する場合は、子ども医療費助成制度による助成がなくなったあとのことも考えておきたいですね。
子どもが加入できるその他の保険
ここまでは子どもと医療保険について考えてきましたが、他にも子どもの加入を検討できる保険があります。
- 学資保険
- 傷害保険
- 生命保険
- 共済
学資保険
学資保険は、毎月保険料を積み立て、契約時に決めたタイミングでお祝い金や満期保険金が給付される保険です。
多くの方が子どもの教育費を用意する目的で加入します。
- 保険料払込免除がある
- 預金より利回りが良い
- 貯蓄が苦手でも半強制的に貯められる
学資保険に加入すると、契約者である親に万が一のことがあった場合、それ以降の保険料の払い込みが免除されます。
また、学資保険なら、普通預金に預けておくよりもお金が増える可能性があります。
低金利が続く日本では、銀行の普通預金に預けていても、ほとんどお金が増えません。
学資保険の保険料は毎月自動で引き落とされるため、貯蓄が苦手な方でも確実に貯められます。
傷害保険
傷害保険は、子ども(被保険者)のケガに備えるための保険です。
医療保険とは違い病気に対する保障はなく、通院でも保障を受けられるのが特徴。
生命保険会社・損害保険会社ともに取り扱っている保険です。
- 日常生活のさまざまなケガに備えられる
- ケガをさせてしまった場合にも備えられる
傷害保険は、交通事故だけでなくスポーツや旅行中、日常生活などさまざまなケガに備えられます。
乳幼児の入院率は低いと前述しましたが、外来の割合はそこまで低くありません。
子どもが小さいころはケガをするリスクが高いため、傷害保険などで備えておくと安心です。
「個人賠償責任補償」が付いていれば、ケガをさせてしまった場合や、他人のモノを壊してしまった場合にも補償が受けられます。
生命保険(終身保険)
生命保険のうち終身保険に加入していると、万一子どもが亡くなった場合や、高度障害状態になった場合に保険金が受け取れます。
- 子どもに将来お金を残せる
- 保険料が上がらない
- 万が一の保障がある
死亡保障を目的とした保険ですが、解約するとまとまった額の解約返戻金が受け取れるため、教育費など将来の備えとしても活用できます。
保険料が一定で上がらないことや、万が一のときの死亡保障がある点もメリットです。
ただし、保険料の払い込みが完了していないなど、タイミングによっては解約返戻金が払い込んだ保険料を下回ってしまいます。
共済
都道府県民共済やこくみん共済などの共済に加入する方法もあります。
共済も保険と同じように、加入者が保険料(掛金)を負担し合い、そのなかから必要な人に保険金(共済金)が支払われる仕組みです。
保険は、保険会社所定の条件を満たす方が加入対象ですが、共済は組合員でなければ加入できません。加入したい場合は、出資をして組合員になる必要があります。
- 掛金(保険料)が安い傾向にある
- 掛金がシンプルで分かりやすい
- 割戻金を受けられる場合がある
共済は、一般的に掛金(保険料)が割安であり、年齢や性別の差がなく一律で設定されています。
また、決算で余剰金が出た場合には、割戻金を受け取れる場合があります。
割安な掛金でシンプルな保障を付けたい方に適していると言えるでしょう。
子どもの医療保険が必要なのはこんな方
以下に該当するような方は、子どもの医療保険に加入しておくと、いざという時に安心でしょう。
- 自治体の助成制度が十分でない
- 子ども医療費助成終了の年齢に到達した
- 安い保険料で子どもの医療費に備えたい
- 子どもが病気になったときの医療費以外の支出が不安
- 子どもに一生涯の保障を用意しておきたい
子どもに医療保険が必要かどうかは、家庭によりさまざまです。
子どもの場合、公的医療保険制度の自己負担割合は2~3割、さらに自治体による子ども医療費助成が受けられます。
お住まいの自治体で十分な助成があるのか、医療費以外の支出や収入減少に対する十分な備えがあるかといった点が、医療保険に加入するかどうかのポイントになるでしょう。
加入する目的や必要な保障によっては、学資保険や親が加入している保険の特約、共済などを利用する方法もあります。
子どもの保険に加入しようか迷っている方は、ぜひ専門家に相談してみてくださいね。