生命保険の必要性は感じているものの、自分に必要な保険が分からないという方も多いのではないでしょうか。
生命保険を選ぶ際には、具体的に何が不安なのかを考え、保険に加入する目的を明確にすることがまず必要です。
本記事では、生命保険の選び方について解説します。
20代独身・30代夫婦など、タイプ別におすすめの保険も紹介するので、参考にしてください。
※本記事の価格は全て税込みです。
生命保険の選び方のポイント
生命保険の選び方のポイントを解説します。
- 加入する目的
- 必要な保障期間
- 保険料の金額・払込期間
- 必要な保険金の額
加入する目的
まずは、生命保険に加入する目的を明確にしましょう。
- 家族が増えたから、自分に万が一のことがあったときの家族の生活費が心配
- 子どもの教育費を十分に用意しておきたい
- 老後の資金が足りるか不安
上記のように、家族構成やライフプランにより心配ごとはさまざまです。
就職・結婚・出産・自動車購入・住宅購入・退職など、今後想定できるライフイベントを書き出してみましょう。
必要な保障期間
画像引用元:死亡保険の保険期間の選び方は?目的に合わせた保険期間の決め方を解説|ライフネット生命保険
生命保険の保障期間は、2つに大別できます。
- 終身
生きている限りずっと保障が続く - 定期
あらかじめ決めた一定期間または一定の年齢まで保障が続く
保険に加入する目的が明確になったら、どれだけの期間保障が必要かを考えましょう。
保険料の金額や払込期間
保険料は年齢や保障額、保障期間などによって異なります。
一般的に、同条件の契約においては年齢が上がるほど保険料も高くなります。
終身保険は、死亡保険金がいずれ必ず支払われるため、保障期間が限られている定期保険と比べて、保険料は割高な傾向です。
何かあったときのための保障は大切ですが、現在の家計を圧迫する保険料を支払っては本末転倒です。
保険料を支払えなくなれば、必要なときに保障が受けられなくなる恐れもあります。
払込期間も合わせて考えましょう。払込期間を長く設定すれば毎月の保険料を抑えられますが、その分支払う期間が長くなります。
退職した後も保険料を支払いたくない場合は、60歳・65歳払い済みといった保険料払込期間が限られている商品を選ぶのもおすすめです。
必要な保険金の額
現状を把握し、何に備えるべきかが明確になったら、実際に必要な保険金の額を考えましょう。
ただし日本には、以下の通りさまざまな公的制度があります。
- 遺族年金(亡くなった場合)
- 高額療養費制度・傷病手当金(病気やケガ)
- 児童手当(教育費)
- 公的年金(老後資金)
いざというとき、どのような制度を利用できるのかを知り、公的制度でまかなえない部分を保険で備えるイメージで考えます。
それぞれの受給条件も同時に確認しましょう。
では、次章で必要な保険金額の求め方を詳しくみていきましょう。
必要な保険金額の求め方
必要保障額は、基本的に以下の計算式に当てはめて考えます。
残された家族にかかる費用-公的制度によりまかなえる部分
残された家族にかかる費用は、家庭によりさまざまです。
以下を参考に、ご自身の家庭の必要な保険金額を求めてみましょう。
死亡整理金
鎌倉新書「第4回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる費用は約184万円と発表されています。
また、お墓代の相場は150~200万円程度と言われています。
仮に、葬儀費用を184万円、お墓代を150万円とすると、合わせて334万円かかる計算です。
実際にかかる費用は、葬儀の形式などによって異なりますが、少なくとも300万円程度は用意したいところです。
残された家族の生活費
現在の家計の状況から、残された家族の生活費を概算しましょう。
毎月の生活費を計算したら、それぞれ以下の年数をかけて、必要な生活費の総額を算出しましょう。
- 残された配偶者の生活費:×平均余命
- 子どもの生活費:×大学卒業までの年数
概算するのが難しい場合は、総務省統計局の「家計調査報告」のデータを参考にしてみましょう。
以下は、2人以上の世帯の消費支出の内訳(2020年平均)の結果です。
項目 | 平均金額 |
---|---|
食費 | 80,198円 |
住居費 | 17,374円 |
光熱費 | 21,836円 |
家具・家事用品 | 12,708円 |
衣料品 | 9,175円 |
医療費 | 14,296円 |
交通・通信費 | 39,972円 |
教育費 | 10,293円 |
娯楽費 | 24,987円 |
その他(交際費・仕送りなど) | 47,088円 |
消費支出合計 | 277,926円 |
ただし、上記はあくまでも平均の費用です。
例えば、住居費の平均は約17,000円ですが、賃貸の場合や住宅ローンを支払っている場合は、もっと高くなるでしょう。
子どもの教育費
子どもがいる家庭は、教育費についても考えましょう。
自宅・下宿や公立・私立など、子どもの選ぶ進路によって教育費も変わります。
文部科学省による「平成30年度 子供の学習費調査」によると、公立・私立ごとの15年間の学費総額は以下のとおりでした。
項目 | 公立 | 私立 |
---|---|---|
幼稚園 | 472,746円 | 924,636円 |
小学校 | 2,112,022円 | 9,999,660円 |
中学校 | 1,616,317円 | 4,303,805円 |
高等学校 | 1,543,116円 | 3,156,401円 |
合計 | 5,744,201円 | 18,384,502円 |
また、日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(2020年)によると、大学の在学費用は以下のとおり。
項目 | 入学費用(受験費用なども含む) | 在学費用 |
---|---|---|
国公立 | 770,000円 | 1,150,000円 |
私立文系 | 951,000円 | 1,521,000円 |
私立理系 | 942,000円 | 1,922,000円 |
最も費用が安く済む幼稚園から大学まですべて公立の場合でも、約1,080万円もの教育費が必要です。
生命保険と貯蓄の違い
この章では、「生命保険」と「貯蓄(預貯金)」の違いを解説します。
どちらも、万が一の備えという点は変わりませんが、性質が異なります。
よく貯蓄は「三角」、保険は「四角」と表されます。
貯蓄は、定期的に決まった額を金融機関に預け、そこに利息が付くことで少しずつ増えていくイメージです。
一方、生命保険は積み立てた機関や保険料の額に関係なく、どのタイミングでも一定の保険金を受け取れます。
タイプ別おすすめの生命保険
最後に、タイプ別におすすめの生命保険の種類を以下3タイプ別に紹介します。
- 20代独身のケース
- 30代夫婦(子どもあり)のケース
- 50代夫婦のみのケース
自分にはどんな保険が適しているのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
20代独身のケース
20代独身の方は、万が一のことがあったときに残される家族がいないため、大きな死亡保障を付ける必要はそこまで高くありません。
若いうちは経済的な余裕も少ないため、無理のない保険料で必要最低限の保険に加入すれば良いでしょう。
とはいえ、病気やケガのリスクには若いうちから備えておきたいものです。
- 医療保険
医療保険
20代独身者には、病気やケガで入院や手術をした際に給付金が受け取れる医療保険が、まず候補にあがります。
基本的に掛け捨てで、解約した際の返戻金などはなく、あくまで病気・ケガのリスクに備えるものです。
病気にかかったりケガをすると、治療費がかかるのはもちろんですが、収入減少のリスクもあります。
なお、病気やケガをした際、会社員であれば条件を満たすと傷病手当金が受け取れます。
また、1ヶ月の治療費が高額になった場合、自己負担限度額を超える部分は、高額療養費制度により払い戻しを受けられます。
公的制度ではまかなえない部分について、民間の医療保険での備えを検討しましょう。
30代夫婦(子どもあり)のケース
30代の夫婦(子どもあり)の場合、主な収入を担う方に万が一のことがあった場合、残された家族が生活していけるだけの備えが必要です。
生命保険文化センターの「令和元年 生活保障に関する調査」によると、30代が必要と考える保険金額は全年代の中で最も大きいという結果でした。
- 死亡保険
- 収入保障保険
- 学資保険
死亡保険
死亡保険とは、万が一のことがあったときに、残された家族がまとまった死亡保険金を受け取れる保険です。
夫婦が共働きの場合は、そこまで大きな額の死亡保障は必要ないでしょう。
一方、どちらかが専業主婦(夫)の場合は、死亡保険でしっかり備えておくと安心です。
終身保険だと保険料が高くて払えないという場合は、子どもにお金がかかる時期だけ、定期保険で保障を手厚くするのもおすすめです。
収入保障保険
収入保障保険とは、残された家族が年金のように定期的に保険金を受け取れる保険です。
30代夫婦(子どもあり)の家庭で、主な収入を担う方が亡くなった場合、残された配偶者と子どもの生活費に充てられます。
配偶者の収入や遺族年金で不足する部分を、民間の収入保障保険で備えると安心でしょう。
学資保険
子どもの教育費を用意するための保険に学資保険があります。
学資保険は、子どもが一定の年齢になったときに、祝い金としてまとまった額の給付金が受け取れる保険を指します。
場合によっては、払込保険料を上回る満期金を受け取れるため、預貯金よりも効率よく教育資金を用意できる可能性があります。
さらに、契約者が死亡した場合、以後の保険料の払い込みが免除されるメリットも。
50代夫婦のみのケース
50代夫婦の家庭の心配ごととしては、主に老後資金や病気のリスクがあげられます。
- 個人年金保険
- 医療保険・がん保険
個人年金保険
子どもが独立して夫婦のみになった50代の家庭は、老後資金にしっかり備えることが大切です。
その1つとして個人年金保険があります。
個人年金保険は、公的年金ではまかなえない部分をカバーする私的年金です。
日本には公的年金制度がありますが、公的年金だけでは不足するため、私的に年金を用意する必要があると言われています。
特に、自営業の方は厚生年金が受け取れないため、しっかり備えることが必要です。
医療保険・がん保険
50代になると、病気のリスクはこれまで以上に高くなります。そのため、医療保険やがん保険での備えが必要だと考えられます。
若い頃に加入した場合、高い保険料を払っているのに必要な保障がなかったり、不要な保障が付いているままのケースがあります。
すでに加入している方も、定期的な見直しを行いましょう。
ライフステージに合った保険選びをしよう
生命保険の選び方を、もう一度確認しましょう。
- 加入する目的
- 必要な保障期間
- 保険料の金額・払込期間
- 必要な保険金の額
生命保険を選ぶ際は、まず加入する目的をはっきりさせることが大切です。
ライフイベントや家族構成によって、必要な保障は変わります。何が心配なのかがはっきりすれば、自身に必要な保障が分かってくるでしょう。
本記事を参考に、ライフステージに合った保険を見つけてくださいね。