無選択型保険とは、健康の告知や医師による診査が不要な保険です。
持病や過去の病歴・入院歴などによって、通常の保険への加入が難しい方でも申し込めます。
しかし加入のハードルが低いぶん、通常の保険と比較してデメリットがあります。
マイナス面も理解したうえで加入することが大切です。
この記事では、無選択型保険の特徴やデメリットを解説します。
「引受基準緩和型保険との違いとは」「無選択型保険と貯蓄、どちらがおすすめなのか」といった疑問にもお答えするので、ぜひ参考にしてください。
※本記事の価格は全て税込みです。
無選択型保険とは
無選択型保険とは、健康状態に関する告知や医師の診査なしで申し込める生命保険や医療保険です。
一般的な保険は告知義務があるため、持病や病歴によっては加入できないことがあります。
保険の申込時には、被保険者が持病・病歴・現在の健康状態などを、正確に保険会社へ伝えなければなりません。これを告知義務といいます。
無選択型保険は、告知により通常の生命保険や医療保険に加入できない方を対象としています。
保険会社によって保障内容に違いがありますが、保障が一生涯続く終身型の商品が多いようです。
40歳または50歳以上、80歳未満を加入対象年齢としている保険が多く、中には10代から申し込める保険もあります。
無選択型保険の審査に落ちることはある?
無選択型保険は、基本的に誰でも加入できます。病気の治療中でも、入院中でも加入可能です。
ただし、モラルリスク(道徳上の危険)があると判断された場合は、審査に落ちることもあります。
モラルリスクとは、保険金や給付金を不正な目的で取得するリスクです。
保険会社はモラルリスク対策を行い、保険が悪用されるのを防止します。
無選択型保険のデメリット
健康面に不安を抱える方でも加入しやすいのが無選択型保険の最大のメリットですが、通常の保険に比べてデメリットがあります。
- 保険料が割高
- 疾病死亡保険金が少ない
- 一定期間は保障されない
- 商品数が少ない
保険料が割高
一般的な生命保険や医療保険に比べると、保険料は高めです。
2社の通常の保険と無選択型保険の生命保険料と保険金額を比較してみました。
項目 | 無選択型保険 | 通常の終身保険 | |
---|---|---|---|
商品名 | 終身保険 どなたでも | かしこく備える終身保険 | |
月払保険料 | 40歳男性 | 10,000円 | 6,357円 |
40歳女性 | 6,000円 | 5,547円 | |
疾病死亡保険金額 | 40歳男性 | 278万7千円 | 300万円 |
40歳女性 | 205万8千円 | 300万円 |
参考:かしこく備える終身保険:保険料シミュレーション、保障内容|死亡保険(生命保険)
無選択型保険のほうが保険金額が低いにも関わらず、40歳男性の保険料は約3,600円も高く設定されています。
女性は男性よりも無選択型保険へ安い保険料で入れますが、通常の保険と比べると割高であることには変わりません。
また「終身保険 どなたでも」は、40歳女性の場合、上記以上の保険金額で申し込みはできません。
無選択型保険の保険金額は、通常の保険よりも約94万円少ないにも関わらず、保険料は高く設定されています。
項目 | 無選択型保険 | 通常の終身保険 | |
---|---|---|---|
商品名 | 新・誰でも終身 | 一生のお守り | |
月払保険料 | 40歳男性 | 9,303円 | 5,565円 |
40歳女性 | 7,449円 | 4,821円 | |
疾病死亡保険金額 | 40歳男性 | 300万円 | 300万円 |
40歳女性 | 300万円 | 300万円 |
参考:保険料シミュレーション、診査なしの生命保険 無選択型終身保険 新・誰でも終身 保険料表
SOMPOひまわり生命は同額の保険金額ですが、無選択型保険の40歳男性の保険料は通常の約1.67倍です。
40歳女性も約1.5倍の保険料に設定されており、割高だとわかります。
疾病死亡保険金が少ない
無選択型保険の保険料は割高であるにも関わらず、保険金や給付金の上限は低めです。
保険料の項で比較したアフラックとSOMPOひまわり生命の、病気で死亡した場合の保険金額の上限をみてみましょう。
以下は40歳男性の場合の上限額です。
- 無選択型保険(終身保険 どなたでも):278万7千円
- 通常の生命保険(かしこく備える終身保険):2,000万円
- 無選択型保険(新・誰でも終身):500万円
- 通常の生命保険(一生のお守り):1,000万円
通常の保険は1,000万円を超える死亡保障も用意できますが、無選択型保険では高額な保障を備えられません。
中には200万円以下の保障しか用意できない保険もあります。
幼い子どもがいる家庭は、生活費や学費で大きなお金がかかるため、必要な保障額が高額になりがちです。
一定期間は保障されない
画像引用元:終身保険どなたでも:保障内容|死亡保険(生命保険)
無選択型保険には免責期間があるのが一般的です。
無選択型終身保険は、契約日から2年などの一定期間内に死亡すると、保険金ではなく払い込んだ保険料相当額が支払われます。
無選択型医療保険の場合は、契約日から90日間などが免責期間として設けられており、91日目から保障を受けられます。
商品数が少ない
無選択型保険は、どの保険会社も取り扱っているわけではありません。
次の章で解説する引受基準緩和型保険を取り扱う会社は多いのですが、無選択型保険を販売している会社は少数です。
通常の保険のように、多くの商品から比較したうえで加入することは、できない可能性が高いでしょう。
無選択型保険と引受基準緩和型保険の違い
無選択型保険と似た保険に、引受基準緩和型保険があります。
両者には以下の違いがあります。
- 無選択型保険
健康状態の告知がない保険 - 引受基準緩和型保険
告知の基準が緩和されている保険
引受基準緩和型保険には健康状態の告知がありますが、通常の保険に比べて告知の基準がやさしいため、持病のある方でも入りやすい保険です。
「告知事項が3つだけ」「告知事項がすべて”いいえ”なら申込OK」などと、告知内容がシンプルです。
通常の保険は持病や病歴について、受けた治療名や投薬の内容まで詳しく告知しなければなりません。
まずは通常の保険を申し込むのがおすすめ
持病があるからといって、すぐ無選択型保険に申し込むのはおすすめできません。
無選択型保険の前に、まずは通常の保険や引受基準緩和型保険から申し込むのがおすすめです。
なぜなら前述したように、無選択型保険は保険料が高い、保険金額が少ないなどのデメリットがあるからです。
そして、持病や病歴があっても、内容によっては、通常の保険や引受基準緩和型保険に加入できる可能性はあります。
- 通常の保険
- 引受基準緩和型保険
- 無選択型保険
通常の保険や引受基準緩和型保険の加入を断られてから無選択型の保険を検討するのが、理想の保障を用意するコツです。
持病がある方には無選択型保険と貯蓄どっちがおすすめ?
現時点で手元にまとまったお金がなく、死亡時や病気を患ったときに資金不足で困ることが予想されるなら、無選択型保険に加入すべきです。
保険金相当額を貯蓄で用意するには、長い期間が必要です。
上記で解説した、アフラックの無選択型保険を例にみていきましょう。
- 保険料:10,000円
- 保険金:278万7千円
以下のグラフは、40歳から毎月1万円を貯蓄した場合に貯まる貯蓄額と期間を表したものです。
保険金額の278万7千円を貯めるには、約23年3ヶ月もの期間が必要です。
その期間内に死亡した場合は、必要なお金を家族に遺せません。
保険に加入すると、早くまとまったお金を用意できるのがメリットです。
ただし、ある程度まとまったお金があるのなら、保険に加入せず貯蓄で用意してもよいでしょう。
もしくは、保険と貯蓄の両方で用意するのも方法のひとつです。
貯蓄で備える分保険金額を減らせば、毎月の支出を抑えられます。
災害死亡に備える目的で加入するのもアリ
無選択型生命保険の死亡保険金は低いと前述しましたが、災害死亡時の保険金は別です。
災害死亡リスクは持病のある・なしに関わらず基本的に変わらないため、災害死亡保険金は手厚く用意できます。
そのため、災害時のリスクに備える目的で無選択型保険に加入するのは合理的な選択と言えるでしょう。
無選択型保険へ加入後は定期的な見直しも必要
無選択型保険は、加入し続けると損をしてしまうかもしれません。
上記のグラフをご覧いただくとわかるように、一定期間経過後は、貯蓄が保険金を上回ります。
無選択型保険は保険料が割高なので、ある程度の期間を健康に過ごせたら解約し、そのときに適した保険に入り直すのも手です。
以前は告知を理由に、通常の保険や引受基準緩和型保険に加入できなかったとしても、期間を置けば加入できるかもしれません。
デメリットをよく理解したうえで加入しよう
無選択型保険の特徴やデメリットについて深掘りしました。記事の要点をおさらいしましょう。
- 健康状態の告知や医師の診査が不要
- 通常の保険より保険料が高く保険金が少ない
- 加入後一定期間は保障されない
- 商品の取り扱い数が少ない
- 通常の保険や引受基準緩和型から申し込むのがおすすめ
- 保険に加入せず貯蓄で備えるのもひとつ
無選択型保険は、健康上の理由などで通常の保険や引受基準緩和型保険に加入できなかった方でも申し込める保険です。
しかし複数のデメリットがあるため、加入前に「保険料を払っていけるか」「加入せずに貯蓄で用意できないか」などを考えたほうがよいでしょう。
自身でリスクを正しく把握するのはなかなか難しいため、まずは保険の専門家に相談することをおすすめします。
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