カードローンとキャッシングは、どちらも「お金を借りる手段」ですが、違いが分からないという方が多いのではないでしょうか。
カードローンとキャッシングは、基本的にお金の使い道が自由、ATMなどで借りたい時にいつでも借りられる、といった点は共通です。
一方で、金利や借入限度額に違いがあるため、使う目的や状況に応じて使い分けるのが賢明です。
この記事では、カードローンとキャッシングの違いを徹底比較し、それぞれどのような方に向いているのかまとめました。
自分にとってお得なのはカードローンなのか、またはキャッシングなのか、確認してみましょう。
- 銀行や消費者金融が取り扱う
- 高額の借入にも対応できる
- 銀行カードローンなら金利が低め
- 消費者金融カードローンは即日借入も可能
- クレジットカードの付帯サービス
- キャッシング枠の設定があればすぐ利用可
- 少額の借入に便利
- 海外ATMで現地通貨を調達できる
※本記事の価格は全て税込みです。
静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。
キャッシングは借入サービスの総称
そもそも「キャッシング」とは、現金(キャッシュ)を借りるサービス全般のことを指します。
一般的には「クレジットカードに付帯されているキャッシング機能」をキャッシングと呼び、この記事内でもその意味で説明しています。
厳密に言うと、カードローンもクレジットカード付帯のキャッシングもどちらもキャッシングに含まれます。
今自分がお金の借り入れをしようとしている業者が登録されているかどうか、まずは金融庁の検索サービスにて確認してみましょう。
※当メディアで紹介するのは財務局長または都道府県知事の登録を受けて営業する貸金業者のみです。
カードローンとキャッシングの違い
カードローンとキャッシングは、以下の7つに違いがあります。
- 借入先
- 借入金利
- 借入限度額
- 審査時間
- 返済方法
- 年会費
- 法律
借入先
カードローンは、銀行や消費者金融が取り扱う商品で、カードローン専用のカードや通帳が発行されます。
借入に特化した商品のため、借入以外には使えません。
キャッシングは、前述したとおりクレジットカードの付帯サービスです。
クレジットカード会社が取り扱っており、発行されるカードでは現金の借入だけでなく、クレジット機能も使えます。
例えば、ショッピングや公共料金の支払いがその一例です。
既にクレジットカードを持っていて、申込時にキャッシング機能をつけていれば、新たな申込や審査は不要で借入できます。
銀行のキャッシュカードと同じ感覚で、銀行やコンビニなどのATMから現金を引き出せます。
借入金利
キャッシングもカードローンも、利息がかかります。この利息の割合を示すのが借入金利です。
カードローンの金利相場は1.5%~18.0%程度なのに対し、キャッシングは15.0%~18.0%に設定しているカード会社が多いようです。
- カードローン:1.5%~18.0%程度
- キャッシング:15.0%~18.0%程度
ただし、最低金利の差は限度額の差によるもので、100万円以下の同じ金額を借りるなら大きな差はない可能性があります。
キャッシングもカードローンも、正式な金利は審査によって決定します。
金融機関ごとの金利の違いは後半で比較しているのでチェックしてください。
借入限度額
カードローンもキャッシングも、審査で決まった限度額の範囲内で自由に借入が可能です。
そのため、まとまった資金を調達したいときは、カードローンが便利です。
- カードローン:10万~800万円程度
- キャッシング:10万~100万円程度
ただし、どちらも借入限度額は審査によって決定され、その基準も同じです(銀行のカードローンは例外)。
カードローンは限度額が高いのですが、希望額を全額借入できるわけではありません。申込者の年収次第で、借入できる上限額が決まります。
貸金業法では、融資額は申込者の年収3分の1までと定めれています。(総量規制)
つまり、年収300万円の人は限度額800万円のカードローンでも、最大100万円までしか限度額を設定できません。
金融機関ごとの限度額を後半の項目で比較しているので、参考にしてください。
審査時間
カードローンとキャッシングは、どちらも以下のような流れで利用できます。
なお、あらかじめキャッシング機能を搭載したクレジットカードを持っている場合は、すぐに借入可能です。
- 申込
申込方法は窓口・インターネット・申込書の郵送など。本人確認書類や所得確認書類などを提出 - 審査
申込内容をもとに金融機関で実施 - 契約
審査に通過した場合、契約が結ばれカードが発行される - 借入
発行されたカードを用いてATMなどで融資を受ける
上記の流れの中で差が生まれやすいのは審査時間です。
とくに消費者金融が取り扱うカードローンは審査時間が早い傾向にあります。
消費者金融とは、小口融資を専門に行う金融機関です。代表的な消費者金融は、アコム・プロミス・アイフルなどです。
消費者金融カードローンは、最短数秒〜30分程度で審査結果が分かります。早ければ申込したその日に借入可能などスピーディさが特徴です。
一方、銀行カードローンは即日借入は不可能です。審査の過程で警察庁データベースへの照会が必要であり、最短でも翌営業日にならなければ審査が完了できないためです。
キャッシング機能つきのクレジットカードは、手元に届くまで最短数日、遅ければ2週間~1ヵ月程度かかる場合があります。
返済方法
カードローンとキャッシングの通常の返済方法は主に以下の2種類です。
- リボ払い
- 一括払い
リボ払いは、毎月の指定日に一定の返済金が引き落される方法です。
元金と利息を含めて毎月同じ金額を払う「元利均等返済」や、借入残高に応じて返済額が変わる「残高スライド定額払い」などから選べるのが一般的です。
一括払いは、借入金の全額と利息を一括で返済する方法です。少額ずつ返済するより利息負担が少ないものの、まとまった資金を用意しなければなりません。
また、上記のほかに一部返済(任意返済)という方法があります。
借入金を全額ではなく一部だけ返済する方法です。
口座に入金する感覚で返済できるので、臨時収入が入ったときなど、手軽に返済手続きができるでしょう。
キャッシングの中にも一部返済できるものはありますが、コールセンターへの連絡や指定口座への振込手続きが必要など、カードローンに比べて手間がかかりやすいところが欠点です。
年会費
キャッシング機能つきのクレジットカードは、カードの種類によって無料のものもあれば1,000~数万円程度の年会費が発生するものもあります。
一方、カードローンは基本的に費用がかかりません。お金を借りれば利息が発生しますが、使わなければ無料で持ち続けられます。
法律
カードローンもキャッシングも、消費者を守るための法律に基づき運営されています。
ただし、借入先の金融機関の業態によって根拠となる法律が異なります。
- 銀行カードローン:銀行法
- 消費者金融カードローン:貸金業法
- クレジットカードのキャッシング:貸金業法
それぞれの法律でさまざまな事項が定められていますが、大きなポイントは上限金利と貸付額です。
貸金業法では、上限金利は15〜20%、借入残高が年収の3分の1を超えてはならない旨が定められています。
銀行法はこの限りではありません。ただし、銀行によっては貸金業法の総量規制に相当する、独自の自主規制が行われている可能性もあります。
カードローンとキャッシングの金利と借入限度額を比較
お金を借りるにあたって金利と借入限度額はとくに重視したいポイントです。
そこで、代表的な金融機関の商品を比べてみました。
発行元 | 商品名 | 金利(年利) | 借入限度額 |
---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 | バンクイック | 1.8%~14.6% | 10万円~500万円 |
三井住友銀行 | カードローン | 1.5%~14.5% | 10万円~800万円 |
みずほ銀行 | みずほ銀行カードローン | 2.0%~14.0% | 10万円~800万円 |
楽天銀行 | スーパーローン | 1.9%~14.5% | 10万円~800万円 |
イオン銀行 | イオン銀行カードローン | 3.8%~13.8% | 10万円~800万円 |
アコム | アコムのカードローン | 3.0%~18.0% | 1万円~800万円 |
アイフル | キャッシングローン | 3.0%~18.0% | 1万円~800万円 |
レイクALSA | カードローン | 4.5%~18.0% | 1万円~500万円 |
クレジットカード | 金利(年利) | 利用限度額 |
---|---|---|
三井住友カード(一般) | 15.0% | 100万円~300万円 |
18.0% | 5万円~90万円 | |
楽天カード | 15.0%~18.0% | 10万円~100万円 |
JCBカード | 15.0%~18.0% | 1万円~100万円 |
イオンカード | 7.8%~18.0% | 1,000円~300万円 |
ビューカード | 18.0% | 1万円~30万円 |
セゾンカード | 12.0%~18.0% | 1万円~300万円 |
dカード GOLD | 15.0% | 5万円~100万円 |
金利を比較する際は最高金利をチェックしてください。初回借入、少額の借入では最高金利が適用されることがほとんどだからです。
最高金利が適用されることを前提として比較すれば、消費者金融のカードローンとキャッシングは同水準、銀行のカードローンはやや低い印象です。
多額を借り入れたい時はカードローンが役立つ可能性が高いと言えます。
キャッシング利用時の注意点
キャッシングはクレジットカードさえあればすぐに利用できる可能性がありますが、利用する前に覚えておきたい注意点があります。
- キャッシング枠はショッピング枠に含まれる
- カード発行時にキャッシングの設定が必要
キャッシング枠はショッピング枠に含まれる
クレジットカードは、基本的にキャッシング機能とショッピングの利用限度額を、どちらも「総利用枠」という同じ範囲内で利用するしくみです。
仮に総限度額50万円で、キャッシングの限度額が20万円の場合、ショッピングで40万円使ってしまうと、キャッシングの利用可能残高は10万円まで減ってしまいます。
「いつのまにかキャッシングの枠が減って、お金が必要なときに借りられなかった」ということにならないよう、ショッピング枠の使いすぎには気を付けましょう。
カード発行時にキャッシングの設定が必要
キャッシングを利用するには、クレジットカードを申込む際に、キャッシング枠を設定する必要があります。
キャッシング枠を申請すると必ず審査が行われます。即日に結果が出ないおそれもあるため、余裕をもって手続きを済ませておくことが大切です。
カードローンとキャッシングはどちらが向いてる
「結局、自分はカードローンとキャッシング、どちらが向いているのだろう」
このように思っている方に向けて、カードローンとキャッシング別に、適している人の特徴を解説します。
カードローンが向いている人
カードローンが適しているのは、以下のような方です。
- 多額のお金が必要
- 利息の負担を抑えたい
- 返済期間が長くなりそう
多額のお金が必要
カードローンはキャッシングに比べて利用限度額が高いです。設定される利用限度額によっては数百万円の資金を調達できます。
まとまったお金を借り入れる際は、金利が下がる可能性も高いです。
100万円以上の利用限度額を設定できれば、金利は自動的に年18.0→15.0%に下がります。
利息の負担を抑えたい
金利が低いほど支払う利息は減るので、利息負担を抑えたいなら比較的金利の低い銀行カードローンが最適です。
同じ楽天グループでも、楽天銀行のカードローンは最高金利が14.5%、キャッシングの最高金利は18.0%と3.5%もの差があります。
仮に上記の金利で100万円借入し、元利均等返済で5年かけて返済した場合、前者の利息は約41万円、後者は約52万円と10万円以上の差が出ます。
返済期間が長くなりそう
借りたお金を一括で返済する予定がなく、時間をかけて少しずつ返済したいなら、カードローンが向いています。
なぜなら、返済期間が長くなるほど利息の負担が増すからです。
仮に100万円を14.5%の金利で借り、元利均等返済で1年で返済できれば、利息の総額は約16万円です。しかし返済に5年かかれば約41万円に増えます。
長期の返済を予定しているなら、やはり金利が低いほうがお得です。
キャッシングが向いている人
一方キャッシングに適しているのは以下のような方です。
- 少額を借りる予定
- 返済の目処が立っている
- 海外で現地通貨を調達したい
- 既にキャッシング枠がついたクレジットカードを持っている方
少額を借りる予定
キャッシングの利用限度額と最低の借入金額は、カードローンに比べて低めに設定されています。
ただし、借入額が小さくなると金利は高くなります。
返済の目処が立っている
前述したように、借入の返済期間が長くなるほど、利息の負担は増えていきます。
キャッシングは金利が高めなので、返済に時間がかかった際、カードローンよりも利息額が多くなりやすいでしょう。
そのため、「ボーナスが入れば一括で返済できる」など、返済の目処が立っている場合に向いています。
キャッシング枠付きのクレジットカードを既に持っていて、短期間で返済できそうなら、あえてカードローンを作らずキャッシングを利用するのも手です。
少々金利が高くとも早く返せば利息が安く済みますし、カードローンを契約する手間が省けます。
海外で現地通貨を調達したい
クレジットカードでは海外に設置されているATMで現地通貨を借りる「海外キャッシング」も利用できます。
VISAやMastercardなど保有するクレジットカードのブランドに対応しているATMを使って、あらゆる国で借入が可能です。
ATMの利用手数料や利息は発生するものの、銀行や両替所に出向く手間を省けるうえ両替手数料がかかりません。
必要なときに必要な金額だけ借りられるので、余分なお金を持ち歩かずに済みます。
旅行や出張で海外を訪れる機会が多い人は、重宝するでしょう。
カードローンとキャッシングを上手に使い分けよう
以上、カードローンとキャッシングの違いを解説しました。
- 銀行や消費者金融が取り扱う
- 高額の借入にも対応できる
- 銀行カードローンなら金利が低め
- 消費者金融カードローンは即日借入も可能
- クレジットカードの付帯サービス
- キャッシング枠の設定があればすぐ利用可
- 少額の借入に便利
- 海外ATMで現地通貨を調達できる
カードローンとキャッシング、どちらが自分に適しているか判断できたでしょうか。
どちらにも一長一短あり、向いている方は異なります。
また、カードローンは借入先の金融機関によっても特徴が異なるため、よく比較しましょう。
ご自身のライフスタイルに合わせて、カードローンとキャッシングを賢く使い分けてくださいね。